2026年4月16日木曜日

ロープソロによる滑落停止の工夫を見た

 先のブログではトップロープソロイングにおける滑落停止の工夫をFacebookから一点、YouTubeから一点の事例を知るに至った

どちらの方法もマイクロトラクションやクロールSといったアッセンダーを胸前に吊るして登攀を続ける方法である

昨夜見た今度の事例は、トップロープソロではなくロープソロであり、先の2事例とは登攀スタイルとしては全くの別物である (タケムービー YouTube 「ロープソロ技術を考える」から)

一人で何もかも担って登攀を続ける単独登攀のスタイルである (ビレイ者の立場も一人で担う)

先のブログで紹介した2例は滑落した場合、(爪付きの)アッセンダーで止める方法であったが、今回のロープソロは滑落停止デバイスにグリグリを使っている

デバイスを胸前に吊るす方法は先の2事例と同じである

カラビナをかける穴とは反対側に追加工(穴あけ)した吊るし輪を作り、これを通してグリグリを胸前に吊るしている

この事例の方はチェストハーネスを装着しており、グリグリはこのチェストハーネスの胸前に吊り下げる形になっている

これにより、支点に固定されたロープは登攀にあわせてグリグリ内を通って上がって行く

登攀にあわせてロープ上を滑落停止デバイスが上がって行くのは先の2事例と同じである

滑落した場合は、逆付けしたグリグリのロック機能によりロープはガツンとかかり、滑落は停止される

支点には100均で売られている自転車に使うゴムロープ3m程を束ねた物をショックアブソーバーとして自作して使っている (後追いの動画では、バンジーロープに変更されていた)

先のYouTubeの登山教室の事例では、胸前に取り付けたアッセンダーだけの滑落停止機能だけでは不安として、アッセンダーを取り付けたトップロープとは別なトップロープにグリグリを加え、ダブルロープ・ダブルデバイスによる滑落停止が工夫されている

今回のこの事例は先のFacebookでの事例のマイクロトラクションを使ったワンデバイスによる滑落停止と同じく、グリグリ一つでの滑落停止の工夫となっている

グリグリに対する信頼が相当に厚くないとこの方法は取れない

滑落停止後は、このグリグリ一つでそれも荷重がかかった状態だけで止まっているので、その後のグリグリの操作を間違ったら滑落の危険がある

一人で何もかも担う負担と、一人がための安全性の確保の複雑な操作などが伴うロープソロであるが、一人ならでの喜びや満足感などが得られるスタイルではないかと思えた

トップロープソロイングでもこのグリグリを使ったソロイングは可能ではないかと思われる

下降は滑落を停止したグリグリのハンドルを慎重に引いて緩めれば下降できので、課題克服のトライアンドエラーを繰り返し行うことが可能になる

先の事例にある通り、マイクロトラクションなどのアッセンダーを使っても滑落停止はできるが、滑落停止によりアッセンダーにかかった負荷を解除するにも下降するにも面倒な手間がかかる

このことを考えると、グリグリを用いた滑落停止機構の方が有効・有用な手段なような気がする

後追いの動画で紹介されていたが、チェストハーネスを使わずとも長いスリングを使って上体にたすき掛けを作り、そこに逆付けしたグリグリを下げることもできる

だが、グリグリに小さな穴を開ける追加工が必要となる

追加工を施した時点で、メーカーの保証は失われることになる

まぁ、マイクロトラクションやクロールSといったアッセンダーを滑落停止デバイスとして使うのもメーカー保証外の行為であることに違いはない訳ではある

【胸前のデバイスの吊るし方について】

使用するデバイスは違えども、3つのどの事例も胸前にデバイスを吊るすのに変わりはない

YouTubeの登山教室の事例では、胸前に、吊るしたアッセンダーは滑落時に吊るした紐が切れることを前提にしているが、このグリグリを使った事例は滑落時に胸前のグリグリの紐が切れて外れることは前提にしていないと思われ (環付きカラビナに止めてある)

グリグリに小さな穴を空け、そこに取り付けた紐は3mm径ほどのロープに見えるが、滑落時に切れる物ではないように見える

実際に瑞牆山でのクライミングでは3度落ちたが(切れた)紐を付け替えてはいないように見える

Facebookの事例では胸前に吊り下げたマイクロトラクションは確かに玩具の様なカラビナで吊るされてはいるが、滑落の度に切れるものでもないように思える

【グリグリはトップローブソロイングに使えるかを考える】

今回知ったロープソロと前回知ったトップローブソロイングとでは胸前のデバイスへ向かって来るロープの方向は真逆となる

ローブソロでは、滑落を停止する役割のロープは下に固定された支点から上がって来るのに対し、トップローブソロイングでは、滑落を停止する役割のロープは上の支点から下へ降りて来る

したがって、グリグリ内でロープが動く方向はロープソロとトップローブソロイングでは動く方向は逆になる

ロープソロでは滑落を停止する役割のロープはグリグリ内を下から上へ出て行くのに対し、トップローブソロイングではグリグリ内を上からしてへ入って来る方向となる

ロープソロでは、ロープはグリグリ内の抵抗を受けつつも、登攀者自身の体の上昇により下に残したロープを引き上げることになる

反対にトップローブソロイングの場合は、登攀者の体が上昇により上から垂れ下がったロープ上をグリグリが滑って登って行くことになる

そうなるはずだが、登攀者が体を上昇しただけではグリグリのくの字に曲がった所の抵抗を受け、ロープはグリグリ内をスムーズにスライドしては来ないと思われる

登攀者の体が上昇し、それに連れて胸前のグリグリも上昇するが、グリグリ内をロープは上手く滑らず、上の滑落停止を担うロープは「たるむ」だけの結果になると思われる

このロープの「たるみ」を取るためには、ロープを下に引く動作が求められる

しかし、際どいバランスの中でロープの「たるみ」を取る行為を実行するのは難しい

この面倒なロープの「たわみ」を取る動作をしないためには、グリグリから下に垂れたローブの地上付近に適度な重しをつければ問題は解決すると思う

この下向き荷重となる重しによりグリグリ内をロープは下に引かれて流れ、ロープは登った分(たるんだ分)を下に落としてくれると思われる

余ったロープをロープバッグなどに入れて吊り下げれば、ある程度の重しとなるだろう

この方策を取ればトップローブにおいてもグリグリを使った(外岩)ソロイングを安全に気兼ねもなく自由に楽しめることだろう

滑落停止デバイスがグリグリなので、(注意深く)レバーを引けば懸垂下降ができる

ロープの伸びを考えるとトップローブソロイングのロープの固定は、下ではなく上の支点に固定した方が良いと思う

先の事例のように滑落停止機能をマイクロトラクションやクロールSなどのアッセンダーに頼れば、ロープがくの字に曲がり、比較的に高抵抗となるグリグリよりも、アッセンダーはロープ上を直線的に真っ直ぐに引き上がるので、動作はスムーズになることは期待できる

p.s.

掲載写真にある右腰下に下げてあるマイクロトラクションは滑落停止機能には直接的な関係はない

登攀距離が10mを超えてくると、スムーズにグリグリ内を通過していたロープの動きが重くなるそうだ

その防止で、ある程度登ったら下に残したロープを3度ほどたくし上げるようで、たくし上げ易く、たくし上げたロープを固定できるマイクロトラクションを使っているとのことであった

この動画の中では、余った側のロープを担いで登攀するスタイルも紹介されていた

マルチピッチではこの方法は有効となる

この方法ではマイクロトラクションは使用する必要がなくなる

0 件のコメント:

コメントを投稿