不思議なことに、陽が昇り部屋に明るさが届き、野鳥のさえずりが耳に届いてくると、痛みの波は静かに引いていく
逆に、夜のしじまが訪れ、周りの音がすっと消え、しんとした静けさの中に置かれると、痛みは私を苦しみの淵へ沈めていく
床の間に置かれたベッドとリビングルームのソファーの間の往復を何度か繰り返した眠れない長い夜は明けた
事故から32日目の朝を迎えた
毎日、多くの場合、日に4錠も連続して飲み続けてきた鎮痛薬のカロナール500も効かなくなったようだ
私の苦しみを和らげてくれない
妻が2階の寝室から降りてきた
妻も朝は薬を服用するために何かを口にする必要がある
ダイニングキッチンのテーブルで何かを食べ始めたようだ
Matthewは勘違いをしたようだ
ソファーで横になっている私の所へ「お父さんごはんだょ」と迎えに来た
私がわかったと言ったり、立ち上がる素振りを見せると、ダイニングキッチンへと戻る
妻の手からビスケットをもらうのが彼の狙いである
妻が食べている姿を見て「朝ごはんだ」とMatthewは思ったようだ
(ちょっと早いようだが)お父さんを迎えに行こうと考えた
考えは行動に出た
妻がその姿を見て「違うょ!」とMatthewに声をかけた
妻の言葉は「早く!」とMatthewには聞こえるのか、妻が否定しても何度も私を迎えに来る
私は笑いがこみ上げてきて止まらなくなった
(仕方がない、)私は起き上がり、杖を頼りにダイニングテーブルの私のいつもの椅子に座った
私はテーブルの上にあったバターロールを少しちぎりMatthewにお礼をした
Matthewはおすわりをしてそれを受けた
いつもだと、妻が用意してある愛犬用のビスケット2枚が食べられる
ダイニングテーブルの席へ移動をしたので、私の役割は一応済んだ
私はリビングルームのソファーに戻って休むことにした
妻が「お父さんを送っていきなさい」と言った
Matthewは私の後についてきた
私がソファーに座るとMatthewはダイニングキッチンへ足早に戻った
妻からビスケットをもらったかどうかは確かめていないふ
朝の陽射しにも朝の野鳥のさえずりにもMatthewのお迎えにも私はとても癒された
痛みを忘れさせ、苦しみから私を救ってくれた
p.s.
私は傷を負い、妻も原因がつかめない痛みと持病のめまいの中にいるMatthew君の散歩は必要になる
Matthew君が一番好きなタマちゃんと2番目に好きのドッコちゃんが朝の散歩と夕方の散歩をかってくれている
今朝も勝手に家を出て行った
タマちゃんとドッコちゃんの声が聞こえたからだ
タマちゃんもドッコちゃんも、Matthew君との散歩を楽しみ癒されているようだ
散歩を終えると、Matthew君は勝手に家に帰って来る






