朝日新聞から |
大腸癌で亡くなった島田陽子さんの孤独死には驚いたが、更に驚いたのは遺体の引き取り手がなかったことである
そのようなことがないようにするにはと、新聞にはその対策が紹介されていた
弁護士や専門家が説明するところの老後対策は、全て当人が死ぬ前に考え、準備しておかなければならないそうである
すなわち、孤独死は自己責任が招いた結果ということになる
真面目に働き、真面目に納めてきた税金は、老人のためには使われないようだ
島田陽子さんの孤独死からその対策を示した本日の朝日新聞の同2面には、政権が増やしている基金の話が載っていた
技術開発や産業振興、経済発展のための基金の話はあるが、その中にも、老人が老後を不安なく豊かに暮らせる話はなかった
日本は、防衛費世界第3位の軍事大国を目指す金持ちの国だが、多くの老人を孤独死さるような国はやはり貧しい国だと思う
先々が不安になる、自己責任を叫ぶこんな日本で暮らす若者は、当然だが、自己防衛に走るだろう
結婚しないし、子供を生もうとしないし、少しでも金は残しておこうと考えることだろう
年金は積んでも戻っては来ないと考えるだろう
子供と老人を大切にしないこんな国が発展するはずがない
進化生物学者の長谷川眞理子さんは色々と面白いことを言う
例えば、「おばあさんはなぜ存在するか?」と問う
人間以外の他の多くの動物は命尽きるまで子を産み続けるが、人間は何故、産み終えた後も長く生き続けるのか?と言う
進化論で考えると、出産を途中で止めて、その後は娘の子育てを手伝った方が、多くの孫を残せるという有利性が働いたからだと説く
このお祖母さんの例にある通り、人間は他の動物以上に超協力行動を取る動物だそうだ
この超協力行動は幼児でも行うことから見れば、教育で育まれたものではなく、人間の生まれつきの特性であるらしい
また、進化論から説明はできないがと前置きはあるが、人間は見ず知らずの人を助ける「利他行動」の特性も持つ動物であるという
例えば、後から来る人のためにドアを抑える、溺れている子がいれば飛び込むなどの行動を指している
人類進化の歴史から見ると、人間とは、「雑食で、運動と娯楽を必要とし、協力による生計、公正・平等を良しとし、好奇心が旺盛で、他者と密接な関係を好み、共同で子育てをする」社会的生き物(本性)だそうだ
この要素を満たせば人間は幸せを感じ、本性を阻害することがあれば、不幸を感じるということだ
あらためて考えずとも、日本の現代社会はかなり(人間の本性を)阻害しているように思える
p.s.
表題からは外れるが、島田陽子といえば、私にとっては「砂の器」である
主人公の和賀英良(加藤剛)の愛人役が島田陽子であった
島田陽子の登場場面は少ないが、中央線の車窓から紙吹雪を撒くという、推理小説(松本清張)としても映画としても重要なシーンで登場する
ベテラン刑事役の丹波哲郎と若刑事役の森田健作が良い演技をした
また、主人公の育て親としてストーリーとしては重要な役どころを緒形拳、この友人役として笠智衆、父親でハンセン病を病む父親役を加藤嘉が務めるなど豪華キャストであった
東京の何処の映画館であったかは忘れたが、妻と二人で、通路の階段に座ってこの砂の器を見た
私は日本映画の名作だと今も思っていて、DVDも所持している
銀座のホステス役で登場する島田陽子の美しい着物姿を思い出すこともできる
ご冥福をお祈りする
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