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田村市のバイオマス発電所 |
一昨日、愛知県武豊町にある火力発電所で火災が発生した
石炭火力発電所かと思ってテレビで写されていた映像も見ていた
だが、ここも木質ペレットを使ったバイオマス発電に移行してきた発電所であった
そしてその火災事故の出火元は木質ペレット貯蔵施設からの発火である模様と報道された
日本は森林大国で、国土の2/3(67%)は森林である
再生可能である資源である木を熱源とするバイオマス発電はどんどん進めるべきだと私は考えていた
だが調べてみると、このバイオマス発電にもバイオマス発電所にも、大きな、また多くの問題と課題はあるようだ
石炭であろうが木材であろうが燃やしているので、ばい煙などは当然ながら発生する
公害となるか否かは対応次第である
再生可能な木を燃料として発電するのだからエコだろうと単純に考えてはどうもいけないようである
わかっているようでいて、よくわかっていなかったことに「エネルギー密度」がある
石炭や石油に比べ、薪や木質ペレットの単位質量当たりの熱量は当然ながら低い
エネルギー密度(GJ/m³)の数値で見てみると、薪で6.3、木質ペレットで12.4に対し、石炭だと27.0、石油だと37.1となるようである (含水分率を薪で15~20%、ペレットで6~10%とした場合)
また、石油1m³と等価な熱量を蓄積できる容積(m³)で比較してみると、木質ペレットで3.0、薪で5.9とかなり大きな容積となってしまう
したがって木材を使って発電するためには、石油を使う場合に比較して、薪で6倍、木質ペレットで3倍の量が必要となる
木質ペレットにするには木が必要になるので、薪と同じで、大量の木を伐採する必要が出てくる
このことが、森林破壊、カーボンニュートラルに対する疑問、エネルギーペイバックタイムの増大などの環境問題と共に、労働環境問題、貧困問題などの社会問題へとつながっていく結果となっている
また化石燃料に比べ、有効な熱量を得るためには木質燃料は容積が大きくなるため、その分輸送コストも格段に大きくなる
当市のバイオマス発電所もそうであるが、バイオマス発電所は発電規模が小さくバイオマス供給地の近くに建設されることが多いようで、一般住宅の近くに建設される結果となっている
その結果、騒音や悪臭と言った公害問題で住民とのトラブルが発生しやすい環境となっている
調べていって驚いたのは、バイオマス発電に使う木質ペレットについては輸入品の方が安く、2021年度のデーターによれば、輸入量が170万トンに対し、国内生産分はなんと11万トンにとどまっている
安いということ自体に複雑な格差社会の問題をはらんでいると思う
木質ペレットの輸入量は年々増大をしている
バイオマス発電は、調べれば調べるほど奥が深く、単純に「バイオマス発電=エコ」とはならないようである
よく言われているバイオマス発電のカーボンニュートラルは、輸入材に頼る現状においては特に疑う必要があると考える
勿論、建築廃材や解体廃材を単に埋めてしまうよりかは有効に燃料として使う必要はある
それが発電所であっても良いとは思う
だか、森林破壊が起こった時、林内の炭素ストック量の復元は難しくなると考える
世界各地で起こった森林破壊を私たちは見たり聞いたりして知っている
人間は先のことは考えずにやりっ放しの特性を持っている
なかなか反省もしないし、学ぼうともしない