2013年3月21日木曜日

原発事故の損害賠償


見逃していたNHKのクローズアップ現代「原発事故~進まない“不動産賠償”~」を昨日観た

この番組内で招かれていた専門家から原発災害に対する損害賠償の考え方が示された

この考え方は私にとってすごく納得がいくものであった

その出演者が言われていたことは、今までの損害賠償というのは「過去に対する賠償」であるが、原発事故に対する損害賠償は「将来に対する賠償」であると表現をしていた

 

この原発災害の損害賠償に強い連関があるのが避難区域の分類である

政府はこの避難区域を2012年4月1日から大まかにいうと次の3つに分けた

■帰還困難区域

居住制限区域の一部地域で、放射性物質による汚染レベルが極めて高く、住民の帰還が長期間困難であると予想される区域。具体的には、5年間を経過してもなお、年間積算線量が20ミリシーベルトを下回らないおそれがあり、年間積算線量が50ミリシーベルト超の地域

■居住制限区域

避難指示区域のうち、年間積算線量が20ミリシーベルトを超えるおそれがあり、引き続き避難を継続することが求められる地域

居住制限区域は、除染や放射性物質の自然減衰などによって年間積算線量が20ミリシーベルト以下になることが確実と確認された場合、「避難指示解除準備区域」に移行する

■避難指示解除準備区域

避難指示区域のうち、放射線の年間積算線量が20ミリシーベルト以下となることが確実と確認された地域

(この避難区域の分類については、更に細かな地域分類と実施時期により細分化された結果、非常に分かりづらい分類になっている点とか、この分類の根拠となる放射線量の判断基準の問題、家の位置だけではなく生活圏の判断などの問題が内在しておりこの避難区域の分類自体に問題があるのだが、ここでその内容を入れこむと論点がずれるので外すこととする)

 

この3分類は避難住民の心をさらに分断する結果を招いている

原発被災者の心をどのように理解するかは難しく言い表すこともできないわけであるが、私は地域コミュニティを分断に追い込んでいる要因の一つとして改訂避難区域毎に示された不動産賠償額の違いで見ることができると考える

帰還困難区域は全額が賠償されるが避難指示解除準備区域は半分の賠償額にとどまる

どこかで線引きは必要となるので賠償額に何らかの差が生じることは仕方がないとの意見に対し、私は反論を用意できてはいなのであるが、高濃度の放射能汚染に曝された浪江町を例にとると、この町は前述の3つの避難区域に分かれており、20ミリシーベルト以下となることが確実と確認された地域(避難指示解除準備区域)であっても飲料として使っている沢水の源は隣の居住制限区域、帰還困難区域にあったり、年間被曝線量が20ミリシーベルトもあったら子供とともに家には帰れないなどの当然の理由があったりと、双葉町民にとってこの避難区域の分類は国がその土地で長い歴史を刻んできた住民感情を理解しないで決めた分類基準であると私は感じている

 

原子力損害賠償紛争解決センターでは原発被災者個々の賠償請求の和解を成立させていくことで賠償事例が積み上がり、それが東京電力の賠償基準につながっていくと考えているようだが、救ってあげなければ生きていくことさえ危ない被災者がいる現状を理解した仕事をしているとはとても考えられない

 

未曾有の原発事故からもう2年が経過してしまった

国も地方自治体も国民も福島を忘れることなく、原発被災者の物に対する賠償ではなく、原発被災者の「将来に対する賠償」に視点を置き、被災者を救済していく手立てを早急に構築する必要があると考える

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